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2018-12-27

マウスはセンサーのかたまり!IoTセンサーのしくみと選び方 〜 IoTエッジウェア“Gravio”で提供される無償貸出センサーの電波到達距離と複数センサー(10台)の同時接続もセットで試してみた〜

マウスはセンサーのかたまり!IoTセンサーのしくみと選び方 〜 IoTエッジウェア“Gravio”で提供される無償貸出センサーの電波到達距離と複数センサー(10台)の同時接続もセットで試してみた〜

こんにちは、Gravio事業部のタルミです。

今回は、センサー選定にまつわる様々なお作法と、実際にセンサーの設置を検討する際に発生しがちな問題に対してお話を進めていきたいと思います。

 

IoT向けのセンサーと、そのしくみ

 

IoTで利用されるセンサーは多岐にわたります。その中でどのセンサーが適しているかを考えるのは結構手間のかかる作業でもあります。センサーの仕組みそのものを大まかにいえば、まずは適切なセンサーの素子が何か、というところから始まります。例えば距離を測りたいなら超音波素子、温度なら温度を検知する素子、モノの通過などを知りたければフォトダイオードなどを利用した送受光の検知、重量を測りたければ感圧素子など。そして、その素子をうまく動かすための回路が付随し、さらに取得したデータを送出するための通信(有線、無線など。複数の規格が存在)と、おおよそこのような仕組みがセンサーに搭載されており、IoT製品として出荷されています。○○センサーとか▲▲センサーとか、だいたい用途が記載されているので、まぁよほどのことがない限り、やりたいことに対して適しているセンサーが手に入りますが、その選定を行なう上でセンサーの技術要素を理解しておくと、実は意外なことに気づくことがあります。それは、使われている技術要素が意外と共通であるということです。同じデータを取るセンサーなのに、メーカー名が違ったり、価格が違ったり、色違いがあったりということが結構多いのです(OEMというとわかりやすいですね)。導入コストや入手可用性に影響するところですので、余裕のある方は是非しっかりと確認してみて下さい。

 

マウスはセンサーのかたまり

センサーを利用した製品として、身の回りにあるものでわかりやすいものとして、PCの入力装置のマウスがあげられます。マウスには上記の仕組みがほとんど入っています。クリックアクションは、スイッチ押下によって発生した電気的パルスを回路経由でUSBやBluetoothなどの信号に乗せ、PC側が理解できるデータとして送信します。また、マウスホイールは裏側ではスリット入りの回転板を回す動作を行なっており、その回転板には光を感知するセンサー(フォトダイオード)が対となって用意されます。ホイールを回すことで、スリットの位置が変わり、光が遮断されたり透過されたりするわけです。そして、そのパルスデータは上記同様に回路を通してPC側に伝わります。私は古い世代なので、マウスといえば裏側にボールがついており(この掃除をするのが日課でした)、このボールがマウス操作によって回ることを上記のホイールと同じ原理で(ボールに接触しているコロが回る)X軸にどのくらい、Y軸にどのくらい動いたか、というのを測定し、マウスカーソルの移動先の座標を指定しているわけです。

IoTのセンサー、と考えると話が大きくなりがちですが、センサーって実はとっても身近なものですし、歴史もある熟成されたテクノロジーなんですね。

 

センサー選定の5W1H 〜センサーに対する要件とは〜

 

では、マウスを購入するときに、みなさん、何を重要視して購入しますか?購入の際に考えるべきことがあると思います。センサー選定も同じようなポイントで考えるとわかりやすいのです。前置きが長くなりましたが、実際にセンサーを選定する際には、昔ながらの5W1Hをベースに検討されることとなるでしょう。

 

要は、誰が、いつ、どこで、なにを、なぜ、どのように、を取得するデータの特性に当てはめ、どのセンサーが最適かを考えていく、ということです。

 

Who:利用者が技術者なのか、それとも設置したらそのままリテラシーを問えない状況になるのか、人がいる現場なのか、いない現場なのか

When:早朝、日中、深夜、終日、定期、不定期

Where:屋内、屋外、水中、高圧、高温、多湿、厳冬下、酷暑

What:取るべきデータの種類、温度なのか、湿度なのか、風力なのか、電圧なのか・・・

Why:データの活用法の検討。無人化による省力化なのか、省電力化なのか、作業効率改善なのか、動線分析で売上Upなのか

How:エッジで取るか、ゲートウェイを立ててクラウドを活用するか、ダイレクトにデータをセンサーからDBやクラウドに上げるか

 

上記はほんの一例です。実際にはもっと多様なWとHがあります。

 

この5W1Hのうち、現場でよく聞く、非常に多いご相談を具体的に記します。

 

1:耐候性(屋外)設置は可能なのか?

2:電波はどのくらい飛ぶのか?

3:どの通信形式がいいのか?

4:電池はどのくらい持つのか。そもそも電池いらずのセンサーはないのか?

5:何台ぐらいのセンサーが管理できるのか?

6:設置・設定は簡単なのか?

7:(おまけ)もっとデザイン性が高いセンサーは無いのか?

 

実際には、それぞれのセンサーが“○○センサー”という名前で販売されているので、どのデータはどのセンサーで取れる、というのはある程度、見当がついているのでしょう。また、センサーは個々の価格が比較的はっきりしているので、導入時のコストの問題も比較的算出しやすく、このあたりの質問は比較的少ないわけです。もう一つ、センサーだと必ず聞かれるのが“精度”とか“分解能”という、データの品質に関係するものです。しかし、こちらもセンサーそのものの仕様書が比較的しっかりしているので、上記の導入コストの算出と合わせて選定されているため、あまり問題にはならないのかもしれません。

 

というわけで、上記のご相談をまとめると、センサーへの要件とは、使い勝手(含む運用コスト)と設置環境に関する適合性、ということになってきます。

 

Gravioに話を戻します。

使い勝手の部分は極めて重要で、センサーのデザインから電池交換のタイミング、設定から

運用までが簡単にできるかどうか、動作状況が簡単に見られるか?などなど。このあたりは今までのブログでも紹介してまいりましたので、今回は割愛します。

 

さて、もう一つの“設置環境に関する適合性”について、検証結果などをまじえつつ、話を深めていきたいと思います。

 

 

弊社認証済みセンサーの設置環境との適合性 〜距離と台数〜

 

基本、Gravio(有償版)では、弊社認証済みのセンサーを複数個、無償で貸与しております。

今回は、それらのセンサー類の性能をいくつか検証結果と共にご紹介したいと思います。

 

なお、Gravioで認証しているセンサーは基本屋内利用向けなので、屋外とのデモはあくまでも参考例として頂けますよう、お願い致します。

 

今回の検証は次の条件で行ないました。

 

<距離に関する検証とその条件>

 

オフィス内(直線、見通し良し)

オフィス内(壁などがあり、見通し悪し)

ビルの内側と外側(直線、見通し良し、ビル10Fから1F、ガラス窓経由での接続)

ビルの内側、階数違い(コンクリートによる壁、見通し悪し、ビル10Fから9F)

 

<接続数に関する検証とその条件>

温度センサー10台の同時接続(オフィス内、パーテーションで区切られた各会議室に設置、センサーとレシーバーの距離は最大20メートル)

 

なお、利用したセンサーとUSBレシーバーは下記のタイプとなります。

本センサーはZigbee(2.4Ghz帯の無線通信)を利用しています。

バッテリーライフは約2年です。

 

 

そして、得られた検証結果をご紹介します。

 

<距離検証結果>

オフィス内での直線、見通しの良い状態 = 40m

オフィス内、コンクリート壁あり、見通し悪し = 20m

ビルの内側と外側(見通しよし、壁はガラス1枚) =40m(ビルの10Fから1Fまで)

ビルの階数違い(一層違いの居室、コンクリート床、見通し無し) =4m (ビルの10Fから9F)

 

概ね公称値に近い結果になりました。ビル階数違いはもう一階増えると(10F→8F)通信はできませんでした。コンクリート床が厚いのが原因ですね。減衰量が多いのだと推測します。

逆に、見通しがいい場合は40mの到達距離を叩き出しており、実際に、1F(地面レベル)と10Fとで通信できることが実証実験の結果から確認できました。

 

<接続数検証結果>

同一フロア内の別居室に各々設置した温度センサー、計10台からのデータが滞りなくGravioで収集できていることが確認できました。

今後更に多くのセンサーを接続して負荷を見ていこうと思います。

 

―距離や台数が上記の検証以上の場合−

距離や障害物に関しては、より低い周波数帯の無線(サブギガ帯と呼ばれるものが代表)通信を行なうセンサーを利用するのが手法です。Gravioでは、センシングできるデータに制限はありますが(温度、扉の開閉情報など)EnOcean規格のセンサーもご用意しておりますので、こちらを利用いただくのも一つの手です。

EnOceanセンサーのデータ到達距離に関しては別途検証の上、またご紹介いたします。

 

また、弊社製品ではありませんが、直接LTE網などを利用してデータをクラウド上へ送信する製品や、マルチホップと呼ばれる技術を利用してロングレンジを実現している製品なども市場にたくさんございます。こういったソリューションをうまく組み合わせてデータの取得をしていただくことになります。現状では、一つのソリューションでコスト、接続性、安定性全てを満たす通信形式は無いといっても過言ではありません。

 

また、エッジの特性をうまく活用していただき、小規模なエッジサーバーを複数台設置していただき、それぞれにセンサーを受け持たせることで、エリアの拡充は可能になります。考え方としてはメッシュ型が近いですね。

 

台数に関しても、接続をするだけであれば、エッジ一台にもう少しセンサーを多めに受け持たせることは可能なのですが、Gravioの良さでもある、エッジ内でのデータの処理、成形、加工、さらにはアクションの実施を考えると、こちらもエッジサーバーを増設していく手段を検討いただき、エッジのリソース状況をみながら、負荷となるアクションとセンサー数を調整していく、という方法となります。システムの弾力性を持たせ、自由に台数を可変できる金額帯の月額500円で弊社では製品を提供していますので、是非増設をご検討ください。

 

 

あとがき

1Fと10Fの接続(しかも外とオフィス内)が成功したときには、かなり嬉しかったですね。公称値通りの接続距離が保てていることに一安心しつつ。また、お客様と会話する上でよく聞くのが“センサー通信の混線”です。混線の話は殆どが2.4GHzのBluetooth関連かな、という気はしますが。

ちなみに、弊社認証済みセンサーは同一周波数帯がパンパン吹いている展示会(野良や個人のWi-Fiアクセスポイントが100近く乱立しており、Bluetoothを検索すればスクロールが必要なレベルで検出されるようなイベント、IT系のイベントだと普通の光景ですよね)でも、安定してデータを送出・受信してくれていました。無線環境(周波数の占拠状況や電子レンジの有無など)やってみないとわからないことを気軽に実現できるGravioは、低コストでIoTの実用性を確認するためにも活用可能だと改めて感じました。

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