新製品発表会 - Asteria AIoT Suite (画像認識AIとIoTで現場業務の自動化を実現)
アステリアとマレーシアのAI企業Tapwayは2024年11月27日、データの収集・統合・管理・活用までをノーコードかつワンストップで利用できるノーコードAI/IoT統合プラットフォーム「Asteria AIoT Suite 日本語版」の提供開始を発表しました。
AIoTSuiteは、AI推論モデルの構築からデータ収集、統合、管理、他システムとの連携、さらにはIoTを含む各種機器の操作まで、ノーコードで実行可能なAI・IoT統合プラットフォームです。従来は、外部企業に多額の費用をかけて委託していた自社独自のAI推論モデルの構築やシステム連携をノーコードで実現します。
これにより、IoTセンサーやAIカメラによる自動検知、生成AIによる情報処理、ライトなどの制御機器の動作によるオートメーション化を実現し、人手や目視に頼るアナログ業務の効率化が可能となります。
本記事では、当日開催された記者向け発表会の模様を、ダイジェストでお届けします。
●新製品提供の背景:AIが「独立した人間」と同等の機能を獲得するために
発表会の冒頭、アステリア 代表取締役社長/CEOの平野洋一郎が登壇し、今回の新製品の開発・提供に至った背景について説明しました。
昨今のAI技術の急速な発展に伴い、世界のAI市場の規模は拡大の一途を辿っていますが、今後はその社会実装が進むことで人々の生活にとってより身近な存在になると予想されます。具体的には、データを基にAIが社会のインフラやサービスを自律的に制御する「スマートシティ」「スマートファクトリー」「スマートヘルスケア」といったソリューションが近い将来広く普及すると言われています。
このようにAIが社会インフラの重要な一端を担うようになると、AIに求められる要件も自ずと変わってきます。今日のAIは、クラウドの計算リソースを使い大量の過去データを時間をかけて分析して、その結果をPCの画面に表示する形をとることが一般的です。しかし社会実装が進んだ先のAIにはこれだけではなく、リアルデータをその場で即座に処理し、その結果を機械の具体的なアクションとしてアウトプットすることが求められようになります。
このような一連のシステムは、「独立した人間」の機能に近付いてくると平野は述べます。
「AIだけでは人間の脳の機能しかカバーできませんが、これに目・鼻・口・耳・手足に相当するIoTが組み合わされ、さらにクラウドに接続することなくエッジで独立して稼働することで、周辺情報を基に独自に判断して行動する1人の人間の機能を獲得できます」
またこうした仕組みを今後広く社会実装していくためには、AIやIoTの専門家だけでなく、非エンジニアでもシステムを容易に開発・実装できる仕組みが求められます。そこで重要な役割を演じるのが、プログラムコードを記述することなく容易にシステムを開発できる「ノーコード開発ツール」です。
「アステリアではこれまで、データ連携やIoTをはじめさまざまな分野でノーコード製品を提供してきましたが、このたびTapwayと提携することで、高度なAIソリューションをノーコードで開発できる新製品『Asteria AIoT Suite』を開発・リリースするに至りました。まずは発展著しい東南アジアの社会発展に寄与するために、英語版を東南アジア市場向けに先行してリリースしましたが、このたびの日本語版のリリースで日本のお客さまにもその価値を提供できるようになりました」(平野)
●Tapway「SamurAI」について: 画像認識からアクションに至るまでのEnd to Endソリューション
続いてTapwayの創業者であり、現在同社のCEOを務めるChee How Lim氏が登壇し、同社が開発・提供する画像認識AIソリューションの紹介を行いました。
Tapwayは2014年に創業され、現在はマレーシアに本拠を構えるAIベンダーで、東南アジアのさまざまな業界の企業に独自のAIソリューションを提供しています。 物体認識&カスタムAI推論作成AIプラットフォーム「SamurAI」は、2つのサービス「SamurAI Central」「SamurAI Copilot」によって構成されています。
SamurAICentralは、お客様独自のカスタム画像認識AIモデルを作成できるクラウドプラットフォームで、生成AI技術を活用することで従来のAutoMLツールと比べてモデル構築に必要なデータの前処理(ラベリング)を大幅に効率化できるとLim氏は語ります。
「AIの専門家を雇うことなく、画像AIモデルを短期間のうちに構築できるようになります。また構築したモデルをオンプレミスやクラウド、さらにはエッジなど、さまざまなロケーションに自在に実装できます」
一方SamurAICopilotは、SamurAI Centralで作成したオリジナルAI推論モデルや、あらかじめ用意された標準AIモデルを実行できるエッジプラットフォームです。 「人数のカウント」「工場や飲食業の個人用防護具(PPE)の着用確認」「骨格検出」「火や煙の検知」「フォークリフトの検出」など、さまざまなユースケースに対応したAIモデルを標準搭載しています(今後のアップデートによる対応予定も含みます)。 これらのモデルをノーコードで操作し、AI動作内容やカメラ・検出エリアの設定を簡単に行うことで、AI導入をスムーズに実現します。これにより、これまで人が目視で行っていた作業の省力化・自動化・遠隔化を可能にします。
SamurAIとデータ連携・活用サービス「Gravio」を組み合わせることで、AI推論モデルの構築からデータ収集、統合、管理、他システムとの連携、さらにはIoTを含む各種機器の操作まで、ワンストップで対応可能になります。例えば、工場内に設置したカメラがヘルメットを着用していない人を検知した場合、安全管理者に即座にメッセージ通知を送る仕組みを、ノーコードで簡単に開発できます。このように、画像認識から具体的なアクションに至るまでのEnd-to-Endソリューションを、アステリアとのパートナーシップにより提供できるようになりました」(Lim氏)
●AIoT Suite概要: AI・IoT・ノーコードの組み合わせで高度な自動化を実現
最後にアステリア AIコネクテッド事業部 事業部長 垂見智真が登壇し、Asteria AIoTSuiteの詳しい紹介を行いました。
「AIの画像認識だけでは、加湿器のスチームと火災の煙を見分けられないことがあります。しかし湿度センサーのデータを組み合わせれば、この両者を正確に見分けることが可能になります。このようにAIとIoTを組み合わせることで、人間が五感を使って行うのと同等の処理が可能になります。まさにこのような自動化こそが、Asteria AIoT Suiteで目指していることです」
人間の「五感」に相当するIoTセンサーやカメラ、「脳」に相当するAIやデータベース、「手足」に相当するサーボやアクチュエータといった機能がすべてシームレスに連携することで、これまで人間が行ってきた業務を機械で代替できる「高度な自動化」が初めて可能になります。
さらにこの業務の自動化をより「自然に」行うためには、業務を最もよく知る現場の担当者が自ら自動化の仕組みを開発できれば理想的です。そこで、非エンジニア人材でもシステムを容易に開発できるノーコードツールの出番です。Asteria AIoT Suiteでは、Tapwayが提供する「AIをノーコードで開発できる仕組み」に、Gravioが備えるIoTやデータ収集・処理・管理の仕組みを組み合わせることで、高度な自動化の仕組みをワンストップで提供します。
これまでもAIのソリューションやIoTのソリューションを個別に提供するベンダーは数多く存在しましたが、これらをワンストップで提供できるソリューションはほとんど存在しておらず、Asteria AIoT Suiteはその初の例として高い注目を集めています。
加えて、Asteria AIoT Suiteはサードパーティ製品やカスタムソリューションと幅広く連携できるインタフェースをデフォルトで備えている点も大きな強みだと垂見は力説します。
「AIであろうとIoTであろうとアクチュエータであろうと、接続して使いこなすことができなければ意味がありません。その点Asteria AIoT Suiteは、非常に多くの製品・サービスとノーコードツールを介して簡単に接続・連携できますので、極めて多様なユースケースに対応できます」
●AIoT Suiteデモ:検証用に利用可能なライセンスも用意
本発表会の最後には、Asteria AIoT Suiteの簡単なデモが行われました。机の上に置かれた果物をカメラで撮影し、その種類(バナナ、りんご、オレンジなど)をSamurAIが自動的に検知、さらにその結果がGravioに送られてLEDマトリックスデバイス上にバナナやリンゴやオレンジの絵を表示するという一連の処理が、瞬時に行われる様が披露されました。
またこれだけに留まらず、「検知した果物を使った料理レシピ」についてクラウド上の生成AIサービスに問い合わせ、返ってきた答えをSlackのタイムラインに表示するというデモも行われました。
「これはあくまでも一例で、IoTセンサーと画像認識AIの組み合わせによってさまざまな情報を検知・認知できます。またその結果のアウトプットも、スマートディスプレイのようなデバイスを使って分かりやすく通知したり、BIのダッシュボードのようなインタフェースで高度な可視化を行ったり、さらには外部の生成AIサービスにデータを投入したりと実に多様な表現や活用が可能です」(垂見)
また、AsteriaAIoT Suiteの購入前に評価いただけるよう、検証に必要なハードウェアとソフトウェアを一括提供する1カ月限定の検証用プラン「AIoT Suite “SamurAI PoCキット”」も用意されています。このプランは15万円で利用可能です。
「東南アジア、日本、そして世界に向けて自動化・省力化ソリューションを広く提供すべく、競争力のある価格でAsteria AIoT Suiteを提供していきます。ぜひ1人でも多くの方に、実際に手に取っていただければと思います」(垂見)
お問い合わせ
当社のAsteriaAIoT Suiteについて:
導入事例を交えた【個別オンライン相談会】を実施しています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
製品に関する詳しい情報は【製品紹介サイト】【プレスリリース】をご覧ください。
導入をご検討中の企業様へ、デモ機の【貸出サービス】をご用意しております。ぜひお試しください。